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読書日記を書く


ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)



評価
著者 中川淳一郎
出版社 光文社
読者 男性あきゃさん
読書日 2010年07月29日(木)
発売日 2009-04-17
書籍コード ASIN:4334035027 ISBN:9784334035020
値段 798円
形態 新書 10.6×17.2×1.6cm 全248ページ
タグ 処分 新書 

 コメント

内容についてはタイトルの通り。副題として「現場からのネット敗北宣言」とつけられている。著者は広告代理店勤務を経て、現在インターネットのニュースサイトの編集者をしているそうだが、怒りとも嘆きとも諦めとも云えるグチに近い語り口で、現在のインターネットを取り巻く環境を解説している。

一時期話題になったWeb2.0に見られるように、これからのインターネットは双方向メディアとして発展していくのではないかという期待感が持たれた事もあったが、本書ではそれが所詮夢物語でしかないという事を喝破している。要するに、企業等、宣伝効果を目論んで立ち上げられたサイト以外は殆んどゴミに近い価値しかないとする。
例えばブログやミクシィに見られるような素人の書き込みにはテレビの感想や自分の髪形を変えたといったような、他人にとってはどうでもいい自己満足以上の内容は含まれていないと斬って捨てている。
また掲示板のような誰でも自由に書き込みが出来る場所では、一方的な視点に満ちた意見とそれに対する脊髄反射的でヒステリックな反応でいわゆる「祭り」と呼ばれる状況が容易に出来上がってしまう、と分析する。
更には、自分には直接関係ない人物の失言でも妙に正義感を振りかざして優越感に浸るの人間が多い事が、今のインターネットを取り巻く環境だともしている。
この辺り、正にその通りだと思う。

企業側が熱心に資金投下したサイトを開設しても、ただそれだけでは意味がない、という記述も面白い。話題にしたいもの、突っ込みどころがあるもので、B級感があるものを含む身近であるものでなければネットユーザーはわざわざ自分から探してサイトへ行かないし、そうした需要が見込めない分ネットニュースでも取り上げないものだが、企業側がその辺りを今一つ理解していない、というのも頷ける。著者は、思いっきりおバカな企画をサイト上で立てれば誰かが面白がってリンクを貼ったりして口コミが広がり、それを受けてネットニュースの関連サイトにも取り上げられたりするのだが、大概の企業が実際にはそこまで思い切った事を出来ず無難な内容で社内稟議を通そうとしてしまうので、結局本来の目的である多数の人の目に触れるサイトにはならない、と絶望している。
結局、どれだけツールが優れていようとも、所詮それを使う人間のレベルが低ければ革新的な発展など望むべくもない、という事がよく理解できた。

ただ、著者のこうした失望感はひしひしと伝わってきたものの、一冊の本をただそれだけで終わらせてしまうのはいかがなものかと思ってしまう。展望がないのだから仕方がないだろう、と著者は云うのかも知れないが、問題点が見えているのならそれを解決していく方法を探るのが建設的な立場というものではないか、と思ってしまう。
現状を憂いてグチるのだけが目的だというのなら、それこそこの著者が本書で嘆いて見せている愚かな大衆ユーザーと何が違うというのか、という事になる。少なくともネットは僅かなパケット通信費で済むメディアであるが、本書は税込798円を購入者に支払わせており、印税として恐らく10%の収入をこの著者は得ているのである。ゆえにそれだけの責任はあるハズではないか。
その意味では、自家撞着に満ちたこの著者の、賢しらで上から目線なスタンスには共感が出来ない。現状の問題点を分析する事はあくまでスタートであって、肝心なのはその先なのである。その先の道筋が示せないのならば、本など出すべきではないだろう。ネットニュースの編集者なのだから、自分の仕事としてフリーの場で問題提起すればいい。
従って、分析、解説力は認めるものの、1冊の書籍としては不十分で物足りない仕上がりだと評価する。

 名言

夜の9時〜深夜1時くらいに決まってブログを更新している人は、昼間にフルタイムで働く忙しい人と推測され、ネットにどっぷりつかっている人々からすれば「リア充」(リアルに生活が充実した人々をなかば侮蔑的に表現したことば)だろう。
私の知人でそれなりに仕事で活躍している人々はこの時間にブログを書き、それ以外のときはまったくブログを更新しない。その理由は簡単で、日中は仕事が忙しいからであり、仕事を中断してまで書く余裕がないからである。
そして、週末は更新が滞る事が多い。なにかと忙しいからだ。
だが、世の中には一日に何度もブログを更新する人は多いし、2ちゃんねるを覗くと、朝の3時だろうが昼の3時だろうが、人気の高いスレッドにはコメントが続々とついていく。
(中略)結局は暇人が時間に関係なく書き込みをしているケースが多いのだろう。(P60)

年収が高く、リアルな世界で忙しい人たちも当然ネットを使いこなすが、それはあくまで情報収集のためである。暇つぶしではなく、明確な目的があるのだ。
暇な人たちがせっせと構築してくれた情報を、効率よいグーグル検索と数回のクリック、そしてコピー&ペーストであらよっと入手し、それを説得材料や補強材料のひとつとして企画書などに反映させる。「最近できた○○ショッピングセンターの評判はですねぇ・・・・・・」などとプレゼンをして、社内のプロジェクトを推進したり、クライアントからお金を引き出したりするわけだ。
あと、重要な情報を持っている人は、その情報をわざわざネットに書かない。
「なんで、客の前で話せばカネになることをわざわざネットで公開しなきゃならないんだよ」「つーか、書いてる暇あったら寝たいから」というのが理由だが、当然である。
リアル世界で活躍している人は、リアルな世界の会話や体験から貴重な情報や出会いを手に入れ、空いた時間にネットでササッと情報収集をして、それらを総合してカネを稼げるようになったのだ。
もちろん、ネットの情報だけでカネをもらえるほど甘い仕事は滅多にない。だが、ネットから拾える情報とリアルの世界で得た情報を掛け合わせると、提案はグッと良くなる。(P72)

文章というものは、小学生の頃から作文や感想文を書いたり、その後も大学でレポートや卒論を書き、仕事でも書類を作り、さらには電子メールやブログでも書く機会が増えるなど、多くの人にとって身近な存在である。そんなものだから、音楽やイラストとは異なり、誰にでもできると思われがちだ。
そして、文章とは、人からスポットライトを浴びる花形職業であるサッカー選手、野球選手、芸能人、ミュージシャン、漫画家等になれる才能のない人が、最後に「自分には才能がある。いつか大傑作の小説を書くことができるはずだ」と拠り所にするものなのである。
だが、本当のところは、「カネを取って人に読ませるレベル」の文章はなかなか書けないものだ。(P112)
(※註:↑著者よ、アンタもな!)

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