美丘 (角川文庫)
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コメント
大学生の主人公・太一が恋人・美丘との出会いから永遠の別れに至るまでを描いた青春恋愛モノである。
以前に買ったまま放り出してあったのだが、今月からドラマ化されると聞き、そういう要素と無関係であるうちに読んでしまおうと思ったワケである。
石田衣良は嫌いな作家じゃないのだが、本作に限って云えば極めて凡作であった。
大学内で男女入り混じった仲良しグループが出来ていて、主人公は初め知的で優しく気も利く完璧タイプの女のコと付き合うんだけれど、その後ちょっと奔放で型破りな部分のあるヒロインに対する抑え切れない熱い恋情が燃え上がる、って展開、前にもどこかで目にしたな、と思い返してみたら、懐かしや柴門ふみのマンガ「東京ラブストーリー」だった。ありゃりゃ、と思いながら読み進めると、ヒロインには不治の病があって、主人公の献身的なサポートも虚しく死へと一歩一歩近づいていく、というプロットで、こんなのもう出典を探すのもメンド臭いくらい使い古されたネタである。個人的には先日取り上げた大崎善生の「スワンソング」のイメージが残っていたため、またコレかよ、という気分に陥った。
ま、いいんですけどね。恋愛モノなんて、ある程度パターンは決まってくるものだし。でも、最近多過ぎやしませんか? こういう安っぽい悲恋をテーマにした小説。そっち方面には全然詳しくないんで確かな事は云えませんが、ケータイ小説あたりじゃこのテのプロットは花盛りなんじゃないだろうか? 少なくとも、直木賞獲った作家がこんなチープな作品出してどうする、という思いは少なからず残るなぁ。
しかも、結末の後に来る部分がプロローグに記されていて、その手法自体はまぁよく見られる事だからさして文句はないんだけれども、最後まで読んでから改めてプロローグを読み返すと、主人公が故人の遺志を無視して文字通り己の肉体を刻みこんでいる箇所がある。著者は物語の象徴というか感動的にする意図があって書いたんだろうけど、冷静に見てそれってどうなのよ?的な印象が拭えない。端的に主人公の自己陶酔としか読めないのだ。
まードラマ化するにはちょーどいーんじゃないですかー?(←投げやり)





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