ワタシは最高にツイている (幻冬舎文庫)
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2004年から2007年にかけて綴られた、女優・小林聡美のエッセイ。
映画のロケでフィンランドに滞在した話などの女優としての仕事ぶりに関する話や、日常での園芸作業のひとコマ、新しいPCや下着を買う際の内心の戸惑いなどが、飾りのない真っ正直な視点で語られている。
小林聡美といえばまず最初に思い浮かぶのが、もう20年くらい前になる深夜ドラマ「やっぱり猫が好き」のイメージが強い。あの番組は大まかな筋立てはあるものの細部は個々の役者に委ねられた半分フリートークのような作りで、役者も殆んど素の状態で出演していたのだが、そこで見せたキッパリサッパリしたような性格は本書でもいかんなく発揮されていた。
文中で当人は自分自身を小心者だとか後輩気質だなどと評しているが、読んでいるといい意味でマイペースであり、楽天家な人のように思える。まぁ読み手に対するサービス精神というものもあるのだろうが、その軽やかな文体に触れていると不思議とこちらの気分も楽しいように感じて来る。その辺りが実にいい。
冒頭で、細木和子と山本令菜という2人のメジャーな占い師から向こう3年間サエない時期であると予言されて、それにちょっと怯えていたものの、本書を読む限りなかなかどうして結構充実した3年間を過ごしたようである。その意味では図らずも、占いというものがどれほどアテにならないか、という事を実証した本になってるともいえる。
本書のタイトルである‘ワタシは最高にツイている’についてはあとがきで、自分の3年間の抜け殻のような文章を本にするのだから、せめてタイトルだけは前向きなものにしようと考えた、という趣旨の事が書かれていた。けれどホンネのところは実は、不吉な予言を下した2人の占い師に対する小林聡美なりの意趣返しなんじゃないかと秘かに睨んでいる。
夫である演出家の三谷幸喜も含め、この夫婦は揃ってエッセイが上手いと思う。話題の拾い方や笑わせどころの作り方など、夫婦なだけに感性に似通ったものがあるのかも知れない。





あきゃさん 