好き、だった。 はじめての失恋、七つの話。(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
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失恋をテーマにした7人の作家によるアンソロジー。
失恋という一言で括られてはいるが、父親目線で描かれた5歳の女の子がテレビアニメの主人公に憧れて原作者の家に行って幻滅する話だったり、少女の幼馴染の少女に対する憧景の終わりについて語られた話だったり、とげというメタファーを用いたとげ抜き師の施術の話だったり、一風変わった作品も混じっていた。
他の作品は一応ごく普通の恋愛感情がピリオドを打たれる話であったが、フラレて終わるのではなく自分の恋愛感情が冷めて終わる話なども混じっていて、「失恋」というキーワードが随分広い括りで捉えられているなぁという印象を受けた。
失恋話よりも有川浩作品が読みたいという動機で手にした人間としては別にそれでも構わなかったのだが、センチメンタルな気分に浸りたいという気持ちで手にした読者はこれで満足するのかな、と他人事ながらやや気になるところではある。
他は知らない作家ばかりだったし、ファンの贔屓目もあるとは思うけれど、収録されていた7篇の中ではやはり有川浩の作品が一頭地抜けていたように思う。
主人公とその双子の兄と兄の婚約者という微妙な人間関係のバランスやそれぞれの立場でそれぞれに見せる優しさ、そしてそこから醸し出される柔らかな雰囲気が、失恋というホロ苦いスパイスを包み隠すように保たれていて、読んでいて心地よかった。
他の作家の作品に関しては、上に挙げたようにそれぞれに一ひねりして工夫した物語を編み出した努力は認めるものの、正直それ以上でもそれ以下でもない作品ばかりだった。初めから期待して読んだワケではないので特に文句はつけないが。





あきゃさん 



