私の途中下車人生 (角川文庫)
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鉄道紀行作家の大家であった故・宮脇俊三の半生について記された書。宮脇俊三の自筆ではなく、インタビュアーの聞き書き形式となっている。
子供の頃から宮脇俊三の紀行文に親しんできたが、その半生については、あまり著作で語られなかった事もあり詳しくは知らなかったのだが、鉄道紀行専門の作家という、その先駆者たる後半生と比べても遜色ないほど、前半生も数奇なものだったようだ。
議員の息子という比較的裕福な家に生まれた事もあるのだろうが、東大に2度も入り直したり中央公論社を一度退職して後に復職したりと、今の時代では相当困難な離れ業を挫折しながらもひょうひょうとやってのけてきたその歩みは、戦後の復興から高度成長期へ至る時代のある種ののどかさを感じるが、当人にとっては己の納得のいく道を探し出せた幸福なものであったと思う。
また後半生についても、趣味を仕事とするのはあまりいい事ではないと述懐してはいるし、納得のいく原稿を仕上げるのにこだわって苦しんだとも記されているものの、世界各国を巡っては好きな列車に乗って旅する事が出来たのだから、やはり恵まれた人だったのだと感じる。
無論、その生活を支えたのは編集者時代も紀行作家時代も真摯に仕事に取り組んだ姿勢であったのだと思うし、そうした姿勢を保って書かれた文章であったからこそ、没後こうして著作が次々と復刊されるほどファンを魅了したのだろう。
個人的には、親戚のおじさんの法要で故人の思い出話を聞かせてもらったような、ちょっぴり感傷的な気分になった一冊であった。





あきゃさん 