我輩はゲームである。〈其ノ1〉 (Vジャンプブックス)
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ゲーム雑誌‘Vジャンプ’に連載されたエッセイを単行本化したもの。えのきどいちろう好きなので、新刊(といっても1年以上経つが)刊行を知って嬉しくなって取り寄せた。
とはいうものの最近のゲーム事情にはとんと疎くなってしまったので果たして楽しめるかどうか、その点に不安がなくもなかったのだが、結果的にはかなり楽しんで読めた。
雑誌の読者層は小中学生らしいが、いかにもえのきどいちろうらしく、あまり深くは読者層を意識して書いていない。文中で自らツッコんでるが、晩秋の京都案内なんてものをゲーム好きのローティーンに語ってどうしようというのか? それを平気で原稿にしてしまう大胆不敵さがスバラシイ。
勿論大半はゲームにまつわるあれこれが占めているのだが、それでもその切り口は子供向けというよりは大人じゃないとその面白味が分からないようなネタが多い。
例えばアドベンチャーゲーム(プレイヤーがミステリーの主人公になって謎を解き明かすゲーム)の自分の名前を‘朝日新聞(姓)毎日新聞(名)’にして妙にジャーナリスティックな雰囲気を作ってみたり、ダンジョン(地下迷宮)を200階くらいまで降りてしまってもう飽きてるのに修行僧のような気持ちでプレイし続けたりするなど、もうかなりひねくれた楽しみ方である。
それでも、版元の集英社からタダでゲームソフトや果てはゲーム機本体を送ってもらって無邪気に喜んでいるところとか、販売終了の決まったゲーム機の情報を仕入れて、「これで安く本体が買える!」とワクワクしている様は読んでいてとても微笑ましく映る。
えのきどいちろう自身が認めているが、この人は本当に‘小学生の心を持った大人’なのだろう。
純粋にゲームの世界に没入し楽しむ心を持っている。そうでありながらいわゆるオタク的な専門用語乱発の独りよがりな文章にせず、テーマに取り上げられたゲームを知らなくても雰囲気は理解できるような、ゲームをしない普通の人に近しい感覚で批評する。なおかつ、どこかズレたような、どこかトボケた風合いの独特の視点があるので、制作者ですら思いもしなかったであろうそのゲームの別の楽しみ方を見つけ出してきたりして、その着眼点に感服させられる。
また実際、結構物識りな人であることがそのボキャブラリーの豊富さから伝わってくるのだが、この人は決してそれをひけらかしたりせず、話のネタを面白くさせるためだけに使う。その自然体なところがまたいい。
原稿の締め切りに追われて忙しかったりもするようだが、この人はゲームに限らず自分の人生を楽しんで生きているのが分かる。裏では辛かったり苦しかったりするようなこともあるのかも知れないが、基本的には楽天的でのほほんと暮らしているように見える。皮肉でも何でもなく、素直に、うらやましいなぁ、と思う。





あきゃさん 

